訪問介護員の採用は難しい!?

人材の不足感は少しずつ改善傾向にある

公益財団法人介護労働安定センターより、令和 2 年度に実施した「事業所における介護労働実態調査(事業所調査)」の概要が8月23日に公表されました。調査の結果、人材の不足感は2年連続で少しずつ改善傾向にあり、事業所全体での不足感(「大いに不足」+「不足」+「やや不足」)は全体で 60.8%(65.3%)と前年度に続き改善傾向にあるそうです。

ただ、やはり訪問介護員の不足感が 80.1%(81.2%)で最も高い傾向にあります。

実際に、私共がコンサティングを提供している事業所でも、訪問介護員が不足している為に、新しい利用者へのサービス提供が受けられないケースもあります。

そのために、なかなか利用者数が増えず、訪問介護員の減少とともに、売上も減少してしまうケースも発生しています。


訪問介護員の高齢化

全従業員数(無期雇用職員と有期雇用職員の合計)に占める 65 歳以上の労働者の割合は、12.3%で、職種別では4 人に1人が 65 歳以上と訪問介護員の割合が最も高い結果となっています。

確かに、若い方を訪問介護員として新規採用するケースは少なく、子育てがひと段落して、空いている時間を活用して働きたいと応募される方が多いようです。

かつて、40代で訪問介護員を始めて、少しずつ勤務時間を増やしながら、長年続けて就労している方が、65歳以上になられたケースも多いのではないでしょうか。


有給が取得しづらい!?

働き方改革によって、年 5 日の取得が義務となった年次有給休暇において、新規付与日数10日以上の者の取得日数は全体で7.6日という結果でした。

義務化されたことで、組織的に有給休暇の取得を推進している事業所も多いかと思います。

ただ、義務化されているにも関わらず、訪問介護員の消化日数が0日の割合が10.5%、1日~4日が22.4%という結果が出ています。

これは、全体で消化日数0日の割合が平均7.8%、1日~4日が19.1%なのに対し、訪問介護員が5日取得できていない割合が他の職種に比べ高いことをわかります。

訪問介護員が、有給休暇を取得することにより、その代替の訪問介護員を調整しなければならないことも、有給休暇を取得しづらい要因かもしれません。


今の職場で働き続けたいか

勤務先の希望として、『今の職場で働き続けたい』と回答した人が、全体では、60.2%なのに対し、訪問介護員は68%と一番高い結果が出ています。

一方、施設などの介護職員は56.2%と平均以下の結果となり、同じ介護を提供する業務ですが、結果に大きな違いがあることがわかりました。


まとめ

訪問介護員は、自転車や車で利用者宅へ訪問し、介護サービス提供をしています。雨や雪でも基本的には、訪問をしなければなりません。

施設の介護業務に比べると、移動や原則一人で利用者宅でサービス提供を行う点で、採用が困難と思われます。そのような中で、訪問介護員の高齢化が進んでおり、一人一人を貴重な戦力として認識することが重要なポイントとなってきています。

体調面に配慮し、安心安全に永く就労できるような、フォロー体制の構築を事業所として検討しなければなりません。

有給休暇の取得はもちろんのこと、お休みしたい時にも快く休みが取れる環境の整備が必要です。

また、訪問介護が全事業で処遇改善加算等の加算率が一番高く、訪問介護員が納得のいく、賃金や処遇の改善を改めて検討していく必要がありそうです。

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