【働きやすい職場・働き甲斐のある職場とは】(その2)

<介護業界は慢性的な人手不足に悩まされています>

介護業界では、職場の上司・同僚・部下やご利用者・ご家族との人間関係に関する悩み、更には重労働の割に賃金が安いとの不満などから退職者が相次いでおり、新規に採用しようとしても応募者が少ないのが現状です。

前回、人材を安定的に確保するには、新規採用よりも先ず現在の従業員の退職をなくすことが何より大切であることを述べましたが、今回は、どのようにすれば従業員の退職を防げるかにについて考えてみたいと思います。

<退職届を受け取ってからでは遅い! 予備軍を察知することが重要です>

何故、従業員は退職するのでしょうか。

以前弊社でその退職理由について突っ込んで調査をしたことがありました。

退職理由として家庭の事情や主人の転勤等が記載されていましたが、本当のことを教えて欲しいと頼み込んだところ、人間関係が約7割を占めていることが分かりました。

人間関係には、事業所内の特に上司との人間関係の他に、ご利用者及びそのご家族との人間関係についての悩みも含まれていました。その内容は、パワハラやセクハラなどについてでした。

個人の置かれた事情によっても異なりますが、従業員は給与等の金銭的な問題に不満を抱くことが多いものの、それ以上に人間関係に悩みを持っていることが分かりました。

従業員は、働きやすい職場、働き甲斐のある職場を強く求めています。

あなたは、ある日突然部下から退職を告げられたと思っているかも知れませんが、実は退職者の多くは事前にサインを出しています。そのサインに気が付かなかっただけなのです。

上司、更にはご利用者やそのご家族からのパワハラやセクハラに悩んでいるにもかかわらず、相談する相手もなくて一人で悩みを抱えたまま退職していく従業員が多くいます。

退職通知を受け取ってからでは手遅れです。如何に早く適切にサインを察知し、対策を講じることが、退職防止のかなめになります。

誰が、どの様なことで悩んでいるかを察知して、対策を講じることです。

それでは、どのようにサインに気付けばよいでしょうか。

<退職を考えている従業員は、サインを出しています>

サインには、最近不満を言うことが多くなった、無断欠勤や遅刻が多くなった、仕事がなげやりになった、特定の上司を避けるようになった、特定のご利用者のサービスに行くのを躊躇するようになった等の例が挙げられます。

上記のようなサインを見つけることが重要なのですが、仕事が忙しいことを理由に、部下とのコミュニケーションがおろそかになっていませんか。部下からのアプローチを待っていませんか、自分から部下とのコミュニケーションを取るようにしていますか。

風通しの良い職場になっていますか。職場の空気がよどんでいませんか。自分の方針が従業員の隅々にまで届いていますか。従業員の声が直接あなたにまで届いていますか。

自分の立場で物事を判断するだけでなく、実際に現場で働いている従業員の立場になって物事を考えていますか。

自分と部下では、価値観が違うことが多々あることご存じですか。

<サインを見つけるにはどのようにすれば良いでしょうか>

従業員との面談に際して秘密は守ると言ってみても、多くの従業員は本当のことをなかなか話しません。

そので、従業員に定期的に無記名で、現在の仕事に対する満足度や人間関係についての悩み等についてアンケートを実施するのも良い方法だと思います。無記名であれば、記名では書けない不満などが書かれていることがあります。

従業員が抱えている不満や悩みを把握することができれば、事前に対応策を講じることが出来ます。

給与等の待遇面なのか、上司やご利用者・ご家族との悩みなのか。

<サインを見つけたらどのように対策を講じれば良いでしょうか>

面談やアンケートで従業員からの要求を受けたときは、出来るだけ早く答えを出してください。改善出来ることは速やかに改善してください。出来ないことは、その旨を伝えて下さい。返答までに時間が必要な時は、その旨を伝えてください。

従業員は、自らの要求が受け入れられるのか返答を心待ちにしています。

一番良くないのは従業員の声を聞いておいて、何も返答をしないことです。

何時までも返答がないと失望を生みます。「やっぱり、言っても駄目なんだ・・・・」と、会社に失望し、退職に繋がって行きます。

従業員から、ご利用者やそのご家族からパワハラやセクハラを受けている旨の相談がありませんでしたか。

お客様だから我慢しろと言っていませんか。それでは、部下の人権を無視していることになります。他の従業員にも同様の被害が及んでいないか、聞き取りも必要です。

加害者が、ご利用者やご家族であれば、ケアマネジャーとも相談を行い、事実であれば改善を申し入れ、サービスの停止も選択肢に入れることも必要ではないでしょうか。

<業績を上げるためには従業員にやる気を出させることです>

業績を上げるために営業に力を入れることは当然ですが、従業員が投げやりになっていては営業に力が入りません。先ずは従業員に「やる気」を出させることです。従業員を大切にしましょう。

従業員は、自分が会社から大切にされていると思えば、働きやすい会社だと感じるでしょう。

そのような従業員は、この職場で働き続けたいと思うでしょう。

やる気に満ちた従業員が会社の業績向上に貢献してくれること、疑う余地もありません。

以上