- 2023年3月8日
- 投稿者: yasashiite
- カテゴリー: News & Topics, コンサルティング, システム
ケアプランデータ連携システムは厚生労働省主導のシステムであり、介護現場のペーパーレス化の促進と業務負担の軽減が目的です。
現在は特定の事業所で試験的に運用されていますが、2023年4月から全事業所を対象に本格稼働が予定されています。
しかし、ケアプランデータ連携システムの使い方などに不安を持つ事業所もあるでしょう。
そこで、ケアプランデータ連携システムの仕組みや導入のメリット、導入準備が遅れた場合に考えられることをご紹介します。
目次
ケアプランデータ連携システムの仕組み
ケアプランデータ連携システムの仕組みは、以下のようになっています。
引用:厚生労働省「ケアプランデータ連携システムの概要等の周知について」
https://www.mhlw.go.jp/content/001005677.pdf
居宅介護支援事業所から介護サービス事業所へ、介護サービス事業所から居宅介護支援事業所へケアプランを送るとき、ケアプランデータ連携基盤を介して送信されることが特徴です。
送信時に電子証明書の付与と暗号化がされるため、セキュリティ面も向上するでしょう。
簡単にご説明すると、ケアプランデータ連携システム導入前後で変わることは以下の通りです。
なお、介護ソフトを導入していない事業所を想定しています。
・ケアプランを手書きで作成→介護ソフトで入力
・ケアプランの郵送またはファックス→電子データとして送信
・受信したケアプランの転記→自動転記
ケアプランデータ連携システムを導入するメリット
ケアプランデータ連携システムについて、もう少し踏み込んでみましょう。 ケアプランの電子データ化によりさまざまなメリットがありますが、システムの利用には介護ソフトが必須です。
「新しいシステムの導入だけでも覚えるのがたいへんそうなのに、ソフトの使い方も覚えないといけないなんて……」と思うかもしれませんが、そこまで身構える必要はありません。
確かに操作を覚えることに不安を感じることはあるかもしれませんが、しだいに使いこなせるようになればシステムとソフトの両方のメリットを感じられるようになります。
業務負担を軽減できる
1つ目のメリットは、業務負担の軽減です。
介護ソフトの機能には「請求処理」「記録作成」「計画書作成」の3つがありますが、これらの機能を使うことで事務処理が簡単になります。
特に影響が大きいのは、ケアプランの作成方法と自動反映です。
これまでは手書きによるミスや転記の手間もありましたが、ミスが減り、報酬請求が返戻されるリスクも減ります。
また、介護ソフトにはタブレット端末から入力可能なもの、バイタル機器と連携して自動で入力できるものなどがあります。
このような機能があればわざわざ事務所に戻って記録する必要もないため、介護スタッフへの負担軽減と業務の効率化が期待できるでしょう。
介護サービスの質が向上する
業務の負担が改善されれば時間も心もゆとりが生まれ、介護サービスの質の向上が期待できます。
例えば「利用者と接触する時間が増える」「スタッフが忙しそうにしていないため利用者の緊張感が和らぐ」などです。
忙しい施設ではスタッフがせわしなく働いており、食事や入浴介助などの業務以外はずっと事務所にいることもあります。
そうなると、利用者は必要最低限の介護サービスしか受けられないでしょう。
「介護施設に入所できただけでもよい」と考える方もいるかもしれませんが、これから生活することを考えると寂しさや疑問が残るかもしれません。
しかし、介護ソフトとケアプランデータ連携システムを導入すれば業務負担の軽減が期待できます。
業務負担が軽減し介護スタッフの心にゆとりが持てれば、効率を優先するよりも利用者のために何ができるかを自発的に考える余裕が生まれるため、結果として介護サービスの質の向上が目指せるということです。
ペーパーレス化が進み経費削減に繋がる
ケアプランや記録などこれまで書類だったものをデータ化することにより、ペーパーレス化が進みます。
つまり、印刷用紙の購入頻度や量が減るなどして、経費削減に繋がることがメリットです。
「ペーパーレス化は資源が削減できるだけでしょ?」と侮ってはいけません。
厚生労働省によれば、ケアプランデータ連携システムの導入で年間約81万6,000円のコストカットができると期待されています。
もちろん、これは紙の購入費や印刷費だけではありません。
郵送費・交通費・通信費のほか、業務時間の短縮によって人件費の削減も見込めます。
なお、業務時間の短縮においては、「提供票の共有にかかる時間が従来の3分の1程度になる」と期待されているようです。
ケアプランデータ連携システムの準備が遅れたらどうなる?
2023年4月から本稼働するケアプランデータ連携システムですが、本稼働に備えて介護ソフトを導入している事業所も多いです。
全国の自治体で介護事業所へのソフト導入が推進されていることもあり、2021年度では新たに5,371の事業所が介護ソフトを導入しました。
しかし、まだすべての事業所で介護ソフトを導入しているわけではありません。
では、介護ソフト未導入でケアプランデータ連携システムの本稼働を迎えた場合、どうなるのでしょうか?
手書きの入力でミスが起きる
介護ソフトがないためこれまで通り手書きによる入力となり、ミスが頻発する恐れがあります。
手書きでは修正が難しく、「失敗してはいけない」と思うことから焦って書き間違いをしてしまうことも多いです。
ケアプランの郵送費など経費がかかる
ケアプランを書類で作成する場合、郵送費などがかかってしまいます。
郵送費は事業所負担のため、利用者からは徴収できません。
ファックスで送信するにも通信料がかかるほか、誤送信して情報が漏洩してしまう恐れもあります。
本格稼働時に対応が遅れてしまう
ケアプランデータ連携システムの本格稼働が始まってから介護ソフトを導入すると、操作を覚えるところから始まるため対応が遅れてしまいます。
手書きからパソコン入力となるため、パソコンが苦手なスタッフにとっては大きな負担になるでしょう。
まとめ
ケアプランデータ連携システムの仕組みやメリットを解説し、「準備が遅れるとどうなるの?」との質問にお答えしました。
本稼働は2023年4月からのためあまり時間は残されていませんが、まだ何も準備していないのであれば早急に取り掛かるとよいスタートを切れるでしょう。
「どんなソフトを選べばよいかわからない」
「パソコンが苦手でソフトの導入には不安がある」
このような不安があれば、介護コンサルティングの「やさしい手」までご相談ください。
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