BCPとは?訪問介護のBCP作成例をあげて解説

訪問介護を含め介護施設では、2024年よりBCPの策定が義務化されます。

BCPとは業務継続計画で、災害発生時について業務が中断した場合の優先業務を実施するためのあらかじめ方策を検討した計画書のことです。

災害には「新型コロナウイルス感染症」と「自然災害」の2種類があります。

この2種類に分けてBCPを作成する必要がありますが、まだ準備できていない事業所も多いのが現状です。

では、具体的にどのように作成したらよいのでしょうか?

25年以上の介護事業の実績をもつ「やさしい手」が、BCP作成例をあげて解説します。

訪問介護におけるBCPとは?

BCPとは「Business Continuity Plan」の略です。

事業継続計画などといわれ、業種を問わずさまざまな企業で策定されています。

BCPの概要

BCPについて中小企業庁では、以下のように説明されています。

「BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のこと」

中小企業庁「BCP(事業継続計画)とは」https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_c/bcpgl_01_1.html

事業継続計画の内容は、「バックアップのシステム」「オフィスの確保」「即応した要員の確保」「迅速な安否確認」などです。

ビジネスリスクには以下のものがあります。

これらのリスクに対して対策をとる必要があります。

・地震や水害、テロなどの突発的に被害が発生するもの

・新型インフルエンザを含む感染症や水不足、電力不足などの段階的で長期間にわたり被害が継続するもの

新型コロナウイルス感染症BCPとは

新型コロナウイルス感染症BCPとは、新型コロナウイルス感染症の感染(疑い)者の発生時の対応における事業継続計画のことです。

大地震などの自然災害と比べると、被害の対象や期間などに違いがあります。

そのため、作成時には以下の3つのポイントが重要です。

①情報を正確に入手し、その都度的確に判断する

②業務継続は主に人のやりくりの問題

③感染防止

自然災害BCPとは

自然災害BCPとは、大地震などの大規模な災害発生時における事業継続計画のことです。

新型コロナウイルス感染症の被害の対象は人ですが、この場合は建物への大きな被害が懸念されます。

自然災害BCPは防災計画と混同されがちですが、防災計画に加えて優先的に継続・復旧すべき重要業務を継続する、もしくは早期復旧を目指すのが自然災害BCPです。

身体・生命の安全確保はもちろんですが、復旧すべき重要業務を継続・早期復旧させることが重要です。

訪問介護のBCP作成例

訪問介護を行う事業所においては、新型コロナウイルス感染症と自然災害のBCP策定が必要です。

2024年に義務化されるため、義務化に向けて今から準備を進めるとよいでしょう。

しかし、見本も何もなければすぐには取り掛かれません。

そこで、作成例を提示しながら作成・運用のポイントも解説します。

なお、様式ツールとひな形は厚生労働省の公式サイトからダウンロード可能です。

新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症BCPを作成するには、まず意思決定者や各業務担当者を決定し、役割を整理して記載しましょう。

担当者もしくは部署名には具体的な名前を記載し、権限と役割を記載します。

以下の画像のように整理できたら、関係者の連絡先と連絡フローを整理してください。

役割の決定と連絡先の整理ができたら、必要な情報収集の実施方法と感染予防対策の徹底について記載しましょう。

だれがいつどのように情報収集し、どうやって職員へ周知するのかを考えて記入します。

このとき、職員への緊急連絡方法も記入しましょう。

電話でもよいですが、メールやLINEを活用する方法もあります。

次に、感染疑い者を早期に把握するための体調評価を実施・記録します。

事業所の来所者に対しても立ち入り時に検温を行いましょう。

記録は様式8のように記録すれば、いつだれが来てどのくらい滞在したのかわかります。

感染予防と対応のために、防護具と消毒液など備品の確保も必要です。

保管と発注の担当者を決定し、在庫量・保管場所・調達先を明記して職員に周知しましょう。

このとき、1日の使用量を計算し、何日分の予備が必要かも検討する必要があります。

発注後に届く時間も考慮し、備蓄量や発注ルールを確定しましょう。

BCPが作成できたら、研修と訓練を実施します。

感染者や濃厚接触者が発生したと想定し、BCPに沿った訓練を実施して課題を見つけましょう。

最後にBCPの検証・見直しを行います。

訓練により洗い出された課題よりBCPを定期的に見直し、改善を図りましょう。

自然災害

自然災害BCP作成のポイントは以下の3つです。

①平時からの対応

②災害が予想される場合の対応

③災害発生時の対応

新型コロナウイルス感染症とは異なり、建物への被害が懸念されます。

そのため居宅介護支援事業所と連携し、利用者の安否確認の方法をあらかじめ整理しておきましょう。

避難先でのサービス提供も想定できるため、平常時から地域の避難方法や避難所に関する情報に気をつける必要があります。

情報を素早く入手するためにも、行政や自治会などの地域の関係機関と良好な関係を構築することも必要です。

災害が発生した場合、サービス提供を長期間休止する可能性もあります。

そのようなことも想定し、居宅介護支援事業所と連携しましょう。

必要に応じて、他事業所への訪問サービスなどの変更も検討する必要があります。

BCP策定に困ったら「やさしい手」にお任せ

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まとめ

訪問介護におけるBCP作成のポイントを解説しました。

介護業におけるBCP策定の義務化は、2024年からです。

2024年3月末までに策定し、研修と訓練を実施する必要があります。

「まだ時間があるから大丈夫」と思う方もいるかもしれませんが、災害はいつ発生するかわかりません。

特に介護業務は人の命にかかわるため、なるべく早く策定しておくとよいでしょう。

BCP策定に困ったら、介護コンサルティングへのご相談をおすすめします。

やさしい手」ではオンラインでのご相談も受け付けておりますので、

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