生活援助従事者研修とは

平成 30 年度に創設した生活援助従事者研修

平成 30 年の介護保険法改正によって、訪問介護事業所における更なる人材確保の必要性を踏まえて創設した生活援助従事者研修。

生活援助中心型のサービス(掃除、洗濯、調理、買い物代行)を提供する人材を育成するための研修です。

介護人材不足が大きな問題となっている中で、生活援助サービスの担い手が増えることで、介護人材不足の軽減や、身体介護を担う介護職員の負担軽減につながることを目的としています。


59時間の講義と演習を受けることで資格が取得できます。この資格があれば、訪問介護員として、要支援~要介護5の生活援助サービスを提供することができます。


実際に受講した人はどれくらいいるのか?

この度、令和3年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)『生活援助従事者研修に関する調査研究事業 報告書』において、実態調査の報告がありました。

r3_seikatsuenjo.pdf (mri-ra.co.jp)

都道府県ごとの令和2年度の生活援助従事者研修の実施の有無について

  • 「実施実績有り」が 17 件(36.2%)
  • 「実施実績無し」が 30 件(63.8%)

実施実績の無い都道府県のほうが多かった。


実施実績が有る都道府県内の研修実施事業者数

  • 「1事業者」が 12 件(70.6%)
  • 「2事業者」が 3 件(17.6%)
  • 「3事業者」と「9事業者」がそれぞれ 1 件(5.9%)

令和2年度までの生活援助従事者研修実施の経緯

令和2年度の生活援助従事者研修の実施実績が無い都道府県の、これまでの生活援助従事者研修の実施の経緯について

  • 「研修の実施の意向がなく、これまで一度も実施したことがない」が最も多く 16 件(53.3%)
  • 「令和元年度以前に実施したが、令和2年度は実施していない」が 6 件(20.0%)
  • 「研修の実施の意向はあるが、これまで一度も実施したことがない」が 5 件(16.7%)

研修を実施しなかった主な理由

令和2年度の生活援助従事者研修の実施実績が無い都道府県が、研修を実施しなかった主な理由

  • 「研修実施事業者の申請がなかった」が最も多く 21 件(70.0%)、
  • 「受講者の数が少ない、受講者層のニーズが低い」が 18 件(60.0%)
  • 「サービス提供事業者(総合事業含む)のニーズが低い」が 12 件(40.0%)
  • 「新型コロナウイルス感染症の影響により実施できなかった」が 6 件(20.0%)
  • 「研修の実施にあたって、人員の確保・体制の構築ができなかった」が 1 件(3.3%)

生活援助従事者研修の受講者について

受講した理由は

子育てなどで長期間離職していたが、復職のために勉強し直したい

実際に介護職として働くことができるか不安なため、まずは生活援助従事者研修を受講したい。

サービス付き高齢者向け住宅などで無資格で勤務している方が職場の勧めで受講。

福祉系学科に在籍する 学生が生活援助従事者研修を受講し、その後、介護福祉分野に進学・就職予定だった。


修了後の状況

訪問介護事業所で、自身のライフスタイルに合わせて勤務している。

利用者や身体介護ができるヘルパーとのかかわりの中でやりがいを感じている。

受講によって、介護に対して自分の固定観念があったことに気付き、よい意味で考え方が変わった。

生活援助従事者研修修了後に介護職員初任者研修を受講した。

自身のライフスタイルに合わせた働き方ができる生活援助従事者としての勤務を継続したい。


まとめ

平成30年に新たな介護資格として、創設されました。実際には、研修の開講も少なく、受講者も少ない状況です。

しかし、ながら、介護業界に不安がある方が、まずは、生活援助サービスからスタートする傾向があるようです。

介護人材不足の状況下で、少しでも介護の仕事を始めるきっかけとなるよう、事業者側も人材育成の取り組みを検討しなければ、ならないようです。


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